むらよし農園

面白いことが書ければと。

おばちゃん、それカブトムシとちゃう・・・

先日のゴルフの練習中のこと。

 

クラシカルでノスタルジックな練習場、吉野ゴルフにて球を打っていた。

外観がエモい

お客さんは数人。

夏の終わりの夕暮れ時。それぞれが静かに球を打つ。

 

そんなゆるーい時間帯、端のほうの打席で何やら動きが。

 

練習しているおじさんに、ここの管理人のおばちゃんがなにやら話しかけている。

こちらにも聞こえるくらいの声だ。

テンションが高い。

 

そしてその人と話し終えたおばちゃんは、その打席よりも手前で練習してるおじさんへと向かい、またもなにやら話しかけている。

 

おそらくは同じ話を。

 

そうして、練習してる人全員に声をかけていく。

 

当然僕にもその順番が回ってきた。

 

一体何だろうと身構えていると・・・

 

 

 

「これカブトムシやろ?あんたいらん?」

 

あまりにも急な提案に驚いた。

 

え?初めて話すのに?虫?カブトムシ?それをいるかって?

 

まず、僕はおばちゃんとは初めて話す。

受付の時にあいさつをするくらいで、これまで会話らしいことはしたことなかった。

そしてその初めての会話が「カブトムシいる?」とは。

 

そして僕は虫が好きではない。大人になってからはほぼ触れなくなった。

昔は好きだったのにな。

 

そしてそして、多分、あくまで多分だが・・・

おばちゃんの腕にのってるそいつは

 

 

 

カブトムシではない。

 

 

 

元虫取り少年だった僕の見解では、それは「コクワガタ」である。

 

だがそんなこと言えるはずもなく、

 

「あーカブトムシ懐かしいですね、でもちょっと僕には飼えないです。」

と丁重にお断りした。

 

おばちゃんは、「そうでね~ほな逃がしてくるき!」

と元気よく外に走っていった。

 

僕はなんだかひどく懐かしい気持ちになった。

 

昔はよく捕りに行ってたな。

バナナにストッキングかぶせて木にくくりつけてね。

 

朝方、まだ暗いうちにそれを見に行ったりね。

お目当てのクワガタはおらず、得体のしれない虫たちがびっしりと引っ付いていてトラウマになったりね。

 

そんな昔の記憶が掘り返された。

 

あのときは、罠を仕掛けた日は夜も眠れないくらいに楽しみにしていたな。

捕まえたクワガタをみんなで見せ合ったり戦わせたりしたな。

 

そんなエモい気持ちに浸っていると、おばちゃんがまた走ってきて、

 

 

「子どもさんやったら喜ぶがやない?カブトムシ!」

 

と、まだ腕についたままのコクワガタを見せてきた。

 

 

おばちゃん、僕な、子どもどころか結婚もしてないんやで。

 

でもありがとうな。

 

 

 

これが最近あった僕のエモい話です。

みなさんよい休日を。